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教育アドバイザー椿原正和先生による授業・研修 ~遊子小学校との合同~

2024年7月1日 21時00分
ぼたんに唐獅子竹にとら!
子どもたちの声が教室に響き始めます。
スタートは、「話す・聞くスキル」の「付け足し言葉」でした。
3・4年生/「文様」 (4)
本校の教育アドバイザーである椿原正和先生(NPO法人 教授法創造研究所理事長)による遊子小での合同授業の様子です。
先生たちも一緒に!
先生たちも声を出し始めます
指3本が縦に口に入るくらいに口を開けるんですよ。
「本当には入れなくていいです。(笑)」
3・4年生/「文様」 (9)
声が変わり始めます。
笑顔で!
もう一つの指示で更に声が明るく変化します。
膝でリズムを取って言うと……。
全員が立ち上がってリズムを取りながらの練習です。
「一人で挑戦できる人?」
さっと手が挙がったのは、本校の3年生でした
3・4年生/「文様」 (14)
「ぼたんに唐獅子竹にとら とらをふまいてわとうない 内藤様はさがり藤……」
みんなの手本として、一人で挑戦する3年生児童。
合格!!!! 〇〇ちゃんだけ座っていいです!」(笑)
うんと褒めてもらいました。
残ったみんなも一斉にひざでリズムを取りながらやって、「合格!」をもらいました。
椿原先生が大切だと言われる「褒める」場面が冒頭から見られました。
3・4年生/「文様」 (12)
こうした場面、必ず最後は全員を合格にすることが大切です。
やったらできた! 合格もらった!
ということで成功体験になるのです。
(これが立たされたまま終わったら、うまくいかなかった体験になります。)
小さなことですが、椿原先生の指導の根底に流れている「一人残らずできるようにする」というお考えの表れのように感じました。

「今日は『文様』というのをやります。」
スキル1 題名
椿原先生が開発された説明文を読み解く「読解スキル7」の1番目です。
先生が調べたところ、題名というのは次の3つしかない。
スクリーンに提示されたのは
① 話題
② 筆者の伝えたいこと
③ 問いかけ
「①って言ったら、さっきの声で読んでくださいよ。1(いち)。」
「話題」
子どもたちの声が若干小さくなりました。
やり直しかと思いきや……。
すごくよかった。○○ちゃん、言ってみて。
指名されたのは、本校の3年生でした。
「1(いち)。」
話題!
口のしっかりと開いた明るい声です。
ほら、これくらいの声を出すんだよ。いくよ全員で、サンハイ!
「話題!」
「すごくいいです。○○くんの声がよくなってきた。目がよくなってきた。立ってごらん。いいかい、一発でやるんだよ。1(いち)。」
「話題!!」
100点です。座っていいです。
 次々と子どもたちとやり取りがなされます。
3・4年生/「文様」 (22)
それにしても、椿原先生の授業は心地よいです。
リズムテンポがある感じがします。
それはなぜなのでしょうか。
1 教師の言葉が短く、明確
椿原先生の言葉には、「え~っと……。」や「~してもらいたいなと思います。」など無駄な言葉が見当たりません
「右上、押さえて。」
やるべきことをスパッと言い切ります。
2 緩急がある
短くやり取りするとき、簡単なことを伝えるときは、さらっと「」で言います。
ぼやぼやしていると聞き逃しそうなスピードです。
参観している大人は聞き逃してしまうかもしれません。
これは私の経験則ですが、子どもたちが心地よいと感じるテンポは、大人のそれよりも速い感じがします。
しかし、速いだけでは決してありません。
「緩」があるのです。
例えば、題名のところで少し解説を入れる場面でした。
ちょっとね、疑問を持つ必要がある。~(間)~なにかなあ?って……。
椿原先生/何かな
言葉もゆっくりにして、間をとって、子どもたちにあれこれ思考を巡らせる時間を取っている感じです。
緩急が状況に応じて使い分けているのが椿原先生の授業です。

もう少し、椿原先生の授業を分析します。
ノートに「文様」と文字を書かせるときのことです。
よくあるのは、子どもたちにノートに書くように伝えたけれども、終わってみたら違うところに書いていたとか、違うことを書いていたというようなことです。
ノートを出して。右も左も真っ白。
新しい見開き2ページのところを開けるという意味の指示です。
すかさず確認に入る椿原先生。
人数が少ないので直接動いての確認です。
合格!
「右の一番上。ここに指置いて。」
椿原先生自身も黒板の右上のところに指を置きながら指示します。
ここでも確認に動きます。
合格。合格。そこです。……。
「(優しい口調で)右はここだよ。」
違うところを押さえている子に即座に対応していきます。
「先生と一緒に書いていきます。鉛筆持って鉛筆。まだ書いちゃだめだぞ。」
「鉛筆」という言葉を2回発した椿原先生。
2回目の「鉛筆」という言葉は、くっきり言葉が立つような言い方でした。
おそらくご自身は意識されていないのだと思いますが、子どもたちが言葉を聞き逃しにくいように、そのような言い方(くり返し、声のトーン)をしたのだと思います。
この間に「個人差の出ないやり方でいきます。」と短く言いました。
これは参観している先生方への言葉です。
目の前で起こっている現象は同じでも、見え方は教師の力量によって違います。
参観者全員が学ぶことができるようにと、解説が時折入るのです。
椿原先生はこれを、「解説型授業」とおっしゃいます。
他にも何度もこう言った解説の言葉が入りました。
ノートの取り方を教えていないと、探求学習になったとき、すごく困るんです。
これを『他者参照』といいます。
子どもたちが自分のノートを持って、意見交換のために席を離れて動く場面では、
自己選択」と短く言われました。
3・4年生/「文様」 (28)
「他者参照」「自己選択」いずれも、探求型の学習でのキーワードです。

今、指を置いたところに『文』と書きます。
椿原先生が黒板に「文」と書き、子どもたちの方を振り返りました。
そして穏やかに言いました。
ハイ、書いてください。10秒で。スタート。
子どもたちは鉛筆を走らせます。
椿原先生の目は、子どもたちの手元をしっかりと見ています。
見えますよ、ここから。
書けた人手を挙げて。
確認しますよ。
合格!
穏やかな口調だったり、にっこり微笑んだり、あごの角度を変えて「見ている」ことを演出したりしています。
椿原先生/確認
ここ数秒だけでも学びが満載です。
次、『様』という字だ。(板書しながら)ハイ、書いてごらん。
さっきとは打って変わって、パッと子どもたちに任せました
子どもたちが書き始めたのを見届けてから、
書けた人、ノートを持ってきます。
教卓のところで赤鉛筆を持ち、丸を付ける準備に入ります。
両手で見せてくださいね。
3・4年生/「文様」 (15)
よし、合格!
はい、合格! とても丁寧だ。
少し言葉をはさむ場面もありますが、ほとんどが一瞬です。
これをだらだら説明しながらやっていれば、すぐに教卓の前に列ができてしまいます。
30人でも40人でも対応できる技術を、教師は身に付けておくべきなのだと思います

視点を子どもに移します。
こんな椿原先生の授業を受けている本校の子どもたちの様子はどうだったのでしょうか。
子どもたちは全員、どんどん椿原先生の授業にのめりこんでいったようです。
1時間終わった後、子どもたちは脳みそにびっしょり汗をかいているのではないかと思うような感じを受けます。
椿原先生からの問いかけに答えようと夢中になっているのです。
その問いについて考えているうちに、文章を読み解く新しい道具を獲得しているのかもしれません。
5・6年生の「かぼちゃのつるが」という詩の授業でもそういった場面がありました。

3・4年生/「かぼちゃのつるが」 (20)

「かぼちゃのつるが」(1行目)
  ↓
「細い先は」(8行目)
  ↓
「小さなその先端は」(15行目)
となるにしたがって、見る位置(視点)が徐々に近づいている。
映像の世界の言葉で言えば、「ルーズ」から「アップ」になっているともいえます。
これを説明するのではなく、授業の中で子どもたちに気が付くようにしていきます。

3・4年生/「かぼちゃのつるが」 (7)

こうした授業で、子どもたちは自分たちの能力をどんどん伸ばしてもらっています。
それを象徴するような出来事が、5・6年生の授業でも見られました。
羅以くんの音読2
高学年はチャレンジしないと伸びないんだ。
椿原先生から言葉をかけられ、みんなの前で音読したのは、本校の6年生でした。
授業の冒頭でも一番に立ち上がり「話す・聞くスキル」の音読に挑戦した6年生は、ここでもみんなの前に出ました。
羅以くんの挑戦
そして、さらに緊張する状態の中で「かぼちゃのつるが」を一人で音読したのです。
一人一人が自分の殻を破り、成長していく。
子どもたちも充実感をもって45分を終えていきます。
授業が終わった後の表情は、どこかすっきりした感じに見えます。
力を出し切ったときに見せる、子どもらしい素直な表情です。
私たち教師は、こうした授業ができる力を確実に身に付けないといけない、改めて思いました。
これからは探求型の学習が大いに推奨されていくといわれているのですが、その前段階として基礎的な指導はきっちりとできるようになっておく必要があります。

放課後は、私たち教員を対象に講話をしていただきました。
教科書が今年度から新しくなったのですが、その変更点とそこから見える授業改善のポイントや、これから進むべき探求型の学習についてお話しいただきました。
いずれも世界や国の動き、つまり大局を見据えた上での具体的な提案が満載で、私たち教員に多くの示唆を与えてくださいました。
椿原正和先生、遠く熊本よりお越しいただきありがとうございました!
次回、9月24日(火)に来ていただくまでに、少しでも前進しておきます。
3・4年生/「文様」 (41)
3・4年生/「かぼちゃのつるが」 (34)