本校の教育アドバイザーである、椿原正和先生が来校されました。
椿原先生は、子どもたちにも直接授業をされます。
まず、2・3年生の授業に先立って黒板に書かれたのは
1 確
2 丸
3 目
4 統
5 褒
という5項目。
それぞれ、確認、丸を付ける、目線、統率、褒める、ということを示しているのだということをおっしゃいました。
この5項目は、全国500校を越える学校を回った上で、ベテランの先生にはできているがお若い先生方にはできていないと感じてきた項目だそうです。
机の上のマネジメント(消しゴム、鉛筆、赤鉛筆などの置き方)も最初にきっちりされています。
■さて、2・3年生の授業は国語。
1年生の教材「じどう車くらべ」です。
バスや乗用車、トラック、クレーン車などが、どんな仕事をしていて、どのような作りになっているのかを楽しく学ぶことのできる教材です。
できたかどうかを途中何度か確認し、必ず丸を付ける椿原先生。
「今、ちょっと言おうとしたね。」
言葉を発しようとした表情や唇のわずかな変化を見逃さず、認めていきます。
「合格!」「よし!」「100点!」
中には、「おしい99点!!」なんてのもありました。
間違っていても受け入れられるので、次は合格してやろうと思ってしまう対応です。
「褒める」というよりは「褒め続ける」という表現の方がピッタリきます。
先ほどの5つの項目を授業の中にちりばめながら、どんどん授業は進んでいきました。
始めは恥ずかしがってなかなか素直に言葉が出なかった二人の声が、どんどん出るようになりました。
音読や発する言葉のスピードも上がると同時に、反応の速度も上がりました。
この「じどう車くらべ」、「バスや乗用車は、どんな仕事をしていますか?」などの発問をし、子どもたちとやり取りした後、自分の気に入った車で作文をさせるというふうに展開しがちですが、実はこの教材には、大変重要なことが隠されていました。
説明文を読み取っていくときに大切なことの一つに、「問い」と「答え」の対応を見抜くことが極めて重要なのですが、問いと答えが正対していないところがあったのです。
正対というのは、「あなたは何歳ですか?」と問われたら、「私は7歳です」と答えるというようなことです。
大人でも見落としてしまいそうなところを、子どもたちが「観点」を持つことにより、自分立ちで発見していくようになるから不思議です。
しかも、こうしたことを「説明」ではなく「授業」として実現していく椿原先生の腕。
私たちが学ぶべきことが山ほどあると思いました。
■5年生は、説明文「見立てる」でした。
説明文を読み取る基本を学ぶための、見開き2ページの教材です。
こちらは、椿原先生が開発された「読解スキル7」のうち幾つかを活用して読み解いていきました。
題名、文章構成、図表・グラフ、説明の型……。
椿原先生の手にかかると、何となく読んでいた文章が、極めて論理的に書かれている文章に見えてきます。
授業を子どもたちと一緒に受けていると、見えなかったものが見えるようになった。
そんな感覚です。
あっという間に授業が終わったと感じたのではないかと思います。
「緊張したけど、楽しかった!」
子どもたちの素直な言葉でした。
■子どもたちが帰った後は、教職員がたっぷり90分間、椿原先生のお話をお聞きしました。
1 本時の授業の解説
2 学力を向上させる研修の在り方①
~参観授業を例に~
3 学力を向上させる研修の在り方②
~チャットGPT等のAIの活用を例に~
4 情報社会必須の「読解スキル7」
5 学力を付ける授業スキル5
今日の子どもたちへの授業でのことと関連付けながらのお話の中で、最先端の内容が語られる。
そんな時間でした。
椿原先生は、授業を行う学校現場でのことと、世界、国、文部科学省の動き、つまり大局をしっかりと踏まえておられます。
この両輪が力強く回っているのが椿原先生といえるかもしれません。
椿原先生は、本校の教育アドバイザーであると同時に、学校運営協議会の顧問というお立場でもあります。
そうしたこともあって、この日は学校運営協議会委員のお二人が、参観に来てくださいました。
今年は、今回を含め4回関わっていただく予定です。
椿原正和先生、遠いところ(熊本)よりお越しいただき、ありがとうございました。
今日学んだことを生かして、3人の子どもたちの未来のために日々がんばってまいります!